私は2015年9月3日から10月8日にかけて、ウガンダにおいて研究調査を行いました。今回の研究調査の目的は、修士論文のテーマである「なぜウガンダの公立小学校で教師の欠勤率が高いのか」について、現地でデータ収集及び分析を行うことでした。滞在期間中は、小川啓一ゼミの卒業生で現在マケレレ大学にて学科長をされているジェームス・ウォカダラ博士に許可をいただき、マケレレ大学にて研究活動を行うことができました。今回の調査を通し、私は次の三つの目標を達成しました。一つ目は初等学校において教師、地域コミュニティにインタビューを行うこと、二つ目は政府、NGO、その他機関の職員と意見交換を行うこと、そして三つめはマケレレ大学において研究発表のワークショップを行うことです。以下、それぞれについて述べたいと思います。

IMG_5425初等学校での教師、地域コミュニティへのインタビュー

今回の調査では、首都カンパラの近郊にあるワキソ県、ムコノ県においてそれぞれ公立5校、私立2校を訪問しました。訪問先でのインタビューを通して見えてきたのは、学校設備や学習環境などの面で、公立と私立の間に大きな格差があることでした。また公立学校間にも格差があることが見えてきました。ウガンダでは公立校は学費が無償である一方、一部の私立は高額の授業料を課し高い成績を維持しています。この学費の差が公立と私立の格差を押し広げています。また、一部の公立では無償であるにも関わらず、非公式に親から学費を徴収し、学校設備や教材、補講にあてています。これによって成績のよい公立校と、そうでない公立校の差が広がりつつあります。私が予備的に行った統計分析でも、非公式な学費の徴収が教師の欠勤に対して有意に相関することが分かっており、それを裏付ける状況が明らかになりました。

ウガンダ国政府官僚、NGO職員との意見交換

今回の調査期間中に、ウガンダ教育省および、東アフリカで児童の基礎学力調査を実施するNGOであるUWEZOを訪問しました。教育省では、官僚数名に今までの研究成果を共有し、結果の妥当性を認めていただくことができました。また、例えば教師の給与体系やHIV-AIDS等の健康問題を視点として取り入れるとよい、といったアドバイスも頂くことができました。UWEZOではマネージャーの方とお会いすることができ、教師の欠勤について様々な議論を行いました。教師の欠勤が発生する理由として、生徒の欠席や学校に対する保護者のサポートの不足などが話題に上がりました。マネージャーの方は2010年からUWEZOのメインの活動である基礎学力調査を主導しておられ、特に地域コミュニティのサポートの重要性を強調されていました。しかしながらウガンダの現状として、特に公立学校は学費を徴収していないため、結果としてコミュニティの当事者意識や学校への貢献も薄くなりがちである、とも指摘されていました。これはフィールド調査でも実際に確認できた事象であり、ある程度信頼がおける内容だと考えられます。

マケレレ大学でのワークショップ開催
OLYMPUS DIGITAL CAMERAウォカダラ博士から機会を頂戴し、マケレレ大学で自分の研究について発表するワークショップを開催しました。ワークショップでは研究について発表した後、同大学の教授や修士課程の学生からの質問に答えました。また同時に多くの有用なアドバイス、コメントを頂くことができたので、今後の論文執筆に活かしたいと思います。例えば、教師の欠勤を分析する際の視点として、教師の性別や年齢といった要素を加えたほうが良い、とのアドバイスがありました。ウガンダ出身の研究者の方々の前で発表できたことは、非常に良い経験となりました。このような機会を下さったウォカダラ博士に、心から感謝しております。

今回の研究調査を通して、論文執筆にあたって役立つデータを数多く収集することができました。最後に、マケレレ大学での研究活動を支援してくださったウォカダラ博士、たくさんのアドバイスを下さった学校、政府および機関の関係者の皆様、そして今回の調査の機会を下さり調査中も全面的に支援して下さった小川啓一教授に心からの謝意を表し、報告を締めくくりたいと思います。

沼澤 建


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