2016年7月7日(木)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて、開発運営政策セミナー「子どもの貧困と社会保障―アフリカとラテンアメリカを事例に―」が開催されました。本セミナーは、講師としてユニセフ赤道ギニア事務所・社会保障スペシャリストのクーリカン・マリアナ氏をお迎えしました。

本セミナーではまず、クーリカン氏が、子どもの貧困と社会保障についての潜在的な問題について紹介されました。この中では、子どもの貧困と社会保障を、全貧困や成人の貧困と同様に重要な課題として私たちが考えなければならない理由について強調されました。この中では、子どもが必要とするものは他とは異なるため、子どもが必要とするものを金銭によって必ず手に入れられるとは限らない点が指摘されました。

続いて、クーリカン氏は、子どもの貧困の測定記録と、栄養、教育、水と公衆衛生、保健、住居、情報といった多次元貧困を計測する際の指標である様々な次元で困難に直面する子どもを、如何に貧困状態にあると認定するのかについて論じられました。クーリカン氏はまた、異なる年齢での貧困を統合する方法を説明され、ラテンアメリカの各国でそれぞれ異なっている重要な研究成果についても説明されました。

さらにクーリカン氏は、社会保障に関するもう一つの世界的関心事項について、セミナーの参加者に共有されました。2030年までに、社会保障の拡大は、SDGs達成のために必須とされています。後進国の中には、社会保障範囲の拡大を目指す革新的なプログラムを試験的に導入している国もあります。不十分な額の予算や深刻な貧困といった課題に直面しているサブサハラアフリカの低所得国では、選別的アプローチと普遍的アプローチの間で緊張関係があります。また、クーリカン氏は、アルゼンチン、パラグアイ、日本における子どもと社会保障の現状について、詳細な解説をされました。クーリカン氏は、子どもの貧困の評価なしに貧困を根絶する見込みはないというご自身の見解について述べられました。

多くの示唆に富んだ興味深い発表に引き続いて行われた質疑応答の時間には、セミナー参加者から、クーリカン氏の研究やUNICEFを含む様々な国際機関における実務経験についてより深く理解しようとする質問が多数投げかけられました。

本セミナーは、アフリカとラテンアメリカにおける子どもの貧困と社会保障の問題について、多くの示唆に富んだ議論が展開され、非常に実践的で有益なものになりました。学生、研究者にとっては、本分野で今後研究を進める上で、大変価値のある情報や、意見、提言を受け取る非常に良い機会となりました。

(文責:研究生 Md. Jahangir Alam、日本語訳:博士課程前期課程二年 岡本栄雄)

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